「お疲れさま~!乾杯!」と飲み始めたは良いけれど。なんだか最近、お酒を飲むと胃が痛い…そうなると折角の飲み会も楽しさが半減してしまいますよね。
ご飯を食べたときや、お茶・コーヒーを飲んだときは痛くなったりしないのに、何故お酒を飲むと胃が痛いのか。そこにはちゃんと理由があります。
今回は、アルコールが胃に与える影響とその原理、お酒を飲む前後に摂ると良いものやオススメのおつまみ、飲酒が原因となる代表的な疾患などをご紹介します。
何故、お酒を飲むと胃が痛いのか
胃の保護機能とアルコール
健康な胃は熱いお茶やコーヒーを飲んでも「熱い」といった刺激を感じる事はありません。
これは胃粘液が胃の粘膜を守っているからです。
でも、アルコール度数の高いお酒を飲むと刺激を受けて胃がカッと熱くなりますよね。
実は、アルコールの分子はとても小さく胃粘液のバリアを通り抜けてしまうんです。
普通の食べ物や飲み物がテニスボールならアルコールはパチンコ玉。ガットの隙間をすり抜けて直接胃の粘膜を刺激してしまいます。
お酒を飲むと胃が痛い理由
「食前酒」というものがあるように、アルコールも少量であれば胃酸の分泌を促したり、胃の血行を良くして食欲を増進させる働きがあります。
しかし大量に摂取すると、その刺激で胃酸と胃粘液のバランスが崩れ、胃酸が胃粘膜を傷付けて胃痛の原因となります。
胃や肝臓に優しいお酒の飲み方とは
胃が痛いのは嫌だけどお酒はやっぱり飲みたい!ですよね?
お酒を飲むとき、どんな事に気を付ければ胃や肝臓の負担を減らす事が出来るでしょうか。
飲む前に摂ると良いもの
チーズ、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品
乳製品はたんぱく質が豊富に含まれており、アルコールの分解を促進させる効果があります。また、乳脂肪がアルコールの吸収を遅らせてくれます。
オクラやなめこなど
他にも納豆やめかぶ、モロヘイヤなどのヌルヌル、ネバネバ系食材に含まれるムチンと言う成分は、胃腸の粘膜を保護する働きがあります。
ウコン
胆汁の分泌を促し、アルコールの分解を早めます。胃のぜん動運動を助けてくれる働きも。消化が促進される為、うっかり食べ過ぎには注意しましょう。
オススメおつまみ
定番のおつまみである枝豆を始め、納豆やレバーに含まれるビタミンB1はアルコールの代謝を助けるのでオススメです。
焼き鳥、特にささ身など良質のたんぱく質が豊富なおつまみは、酵素の働きを助けて肝臓の機能を強化してくれます。
牡蠣、ホタテ、あさり、タコ、イカなどの魚介類はたんぱく質の他、タウリンという成分が豊富に含まれています。タウリンは胆汁の分泌を促したり、アルコール代謝に必要な酵素の作用を助けたり、肝細胞の再生を促す作用があります。
サラダやフルーツはアルコール代謝の過程で失われるビタミンやミネラルを補給する為に摂ると良いでしょう。
ナッツは、おつまみとしてとても優秀です。ナッツの良質なたんぱく質、脂質、ビタミン、アミノ酸などが肝臓や胃粘膜に働きかけます。
ビタミンB1でアルコールの代謝を助ける | 枝豆、冷奴、納豆、レバー、豚キムチ |
たんぱく質がアルコールの分解を促す | 焼き鳥、焼き魚、卵焼き、豆腐料理、チーズ |
タウリンで肝臓の働きを助け、肝細胞を再生 | 牡蠣、ホタテ、あさり、タコ、イカ |
アルコール代謝で失われるビタミン・ミネラルを補給 | グリーンサラダ、フルーツ、大根おろし |
肝機能の強化、胃粘膜の保護、ビタミン補給 | ナッツ類 |
お酒を飲んでいると、沢山水分を摂っているように思えますが、アルコールが体からどんどん水分を奪っていきます。脱水予防のためにも、飲んだ分だけ水分補給するのが望ましいですね。
飲んだ後に摂ると良いもの
果物(果糖)
果糖はアルコールの分解を助けてくれます。果汁100%の柑橘系フルーツジュースなら柑橘類に含まれるビタミンBやビタミンCがアルコール代謝を助け、水分補給にもなるのでGoodです!ビタミンCが豊富なグレープフルーツジュースが特におすすめです。
しじみの味噌汁
しじみに含まれるオルニチンをはじめとした成分が肝臓の働きを助けます。ウコンとオルニチンの併せ技は効果大です。
こんな飲み方は要注意
エナジードリンク+アルコール
エナジードリンクを使ったお酒は、カラオケや居酒屋でも当たり前に見るメニューになりました。
飲みやすいためジュース感覚でついグイグイと飲んでしまうかもしれませんが、実はこの飲み方、あまり体によろしくありません。
疲労回復などに効果があるエナジードリンクの主成分はカフェインと糖分です。
レッドブルとウイスキーのカクテルに最近ハマってる。カルディーで買った生ハムとチーズつまみながら作業の続き♪#意外と眠くならない組み合わせ pic.twitter.com/qUDfONjuqh
— エナジードリンク評論家の福田慎一郎 (@shinichirou_f) 2016年10月23日
脳を覚醒させる「カフェイン」と脳を麻痺させる「アルコール」。
これを一緒に摂取すると本来ならとっくに酔っぱらうような血中アルコール濃度の高さでも意識がハッキリするといった事が起きます。
そうなると自分の状態が正しく判断出来ず、急性アルコール中毒を起こす危険性も。
また、カフェインとアルコールはどちらも肝臓に負担をかけるものです。それをガブガブ飲んでいては肝臓も悲鳴を上げてしまいます。
カフェインとアルコールは体と脳ぶっ壊すからレッドブルと酒は一緒に飲まないこと!
— 二浪提督 (@kamuiz_south) 2016年11月13日
肝臓だけじゃない!アルコール関連疾患
お酒の飲み過ぎでまず気にされるのは「肝臓」ではないでしょうか。
以下の動画でアルコール性肝障害について説明しています。
また、アルコールは肝臓だけでなく口、食道、胃、小腸、大腸、肛門といった消化管全体にも影響を及ぼします。
アルコールと食道
1.逆流性食道炎
アルコールが胃の内容物の逆流を防ぐ為の下部食道括約筋を緩め、胃酸の逆流を引き起こします。
2.マロリーワイス症候群
嘔吐を繰り返すことで、食道に圧が加わり食道下部から胃の入口の血管が破れ出血する事を言います。
アルコールと胃・十二指腸
1.胃潰瘍・十二指腸潰瘍
主な原因はピロリ菌と言われていますが、喫煙と共に独立した危険因子として知られています。
2.急性胃粘膜病変(AGML)
摂取するアルコールが大量になると、胃の粘膜防御機構が壊れ、浅い潰瘍やびらん(ただれ)が多発します。腹痛や嘔吐、吐血、血便などの症状が出ます。
アルコールと小腸、大腸
1.下痢
アルコールを大量に摂取すると、水分や電解質の体への吸収が悪くなり、排出量が増えます。さらに糖や脂肪の分解・吸収も低下し、下痢を起こしやすくなります。
2.大腸ポリープ
アルコールを長期に渡り大量摂取していると大腸ポリープができやすいと言われています。
3.痔核
アルコール摂取により、血液のうっ滞がおこり悪化しやすくなります。アルコール性肝硬変になると門脈圧亢進に伴い直腸に血管が生じ、痔核となります。
まとめ
お酒を飲むと胃が痛いのは、お酒だからこそ、と言っても良いかもしれませんね。
アルコールは胃粘膜もすり抜けてしまいますから、無防備な空きっ腹に飲むのは絶対に禁物です。お菓子をつまむだけでも違いますので何か少し胃に入れてから飲むようにしましょう。
胃の免疫機能を高める食品や、肝臓の代謝機能を助ける食品などもうまく利用してお酒と上手に付き合いたいですね。
もし、こういった対策をとってもお酒を飲むと胃が痛いようであれば、一度医療機関にかかる事をおすすめします。