便秘じゃないのにお腹がぱんぱんに張って苦しい、でも原因に思い当たる節もない…
そうなると解消する手立てがなく苦しいのを我慢するしかなくて辛いですよね。何かの病気なんじゃないかと不安になるかもしれません。
お腹が張る要因には様々なものがあります。
今回はそんな「お腹の張り」の原因と解消法をご紹介します。
何故、便秘じゃないのにお腹が張るのか
便秘じゃないのにお腹が張る要因は大きく分けると
「日常生活によるもの」
「疾患によるもの」
の2つに分ける事が出来ます。
日常生活によるものについては、生活習慣を改善する事で解消する事が可能です。
自分に当てはまるところがないか見てみましょう。
日常生活によるもの
暴飲暴食
胃の消化機能を上回った飲食物の摂取をしてしまうと、消化に時間がかかり胃の中に食べ物が長く留まるため膨満感の原因となります。
食事内容については、米やパン、芋類などでんぷん質の多い食品、牛蒡などアクの強い食品などはガスを発生させやすくお腹が張る原因に。炭酸飲料も飲み過ぎには注意が必要です。
早食い
早食いをすると飲食物と一緒に空気を飲み込みやすくなり、それが胃や腸に溜まることで膨満感に繋がります。
空気を飲み込んで起こる膨満感などの症状を「呑気症(どんきしょう)」または「空気嚥下症(くうきえんげしょう)と言います。
喋りすぎ
意外に思われるかもしれませんが、喋るだけで呼吸が増えた分だけ空気を飲み込む機会が増えるため、膨満感に繋がる事があります。タレントの久本雅美さんや中居正広さんもお腹の張りは喋りすぎによるものだと病院で言われた事があるそうです。
お仕事で喋る事が多い方などは特にこれが原因になる場合もありそうですね。
ストレス
ストレスを感じると自律神経が乱れて胃や腸の機能が低下します。その結果、胃の膨満感や便秘によるお腹の張りが起こります。
噛みしめ癖
姿勢が悪かったり、パソコン、スマホ、読書などにより俯き加減になると無意識に歯を噛みしめている事がよくあります。こうなると舌が上顎に押し付けられる形になり唾液が喉に流れ込むため、それを飲み込みます。嚥下する(飲み込む)動作が多ければ多いほど空気を飲み込む量も増えて行きます。
疾患によるもの
胃炎
食べ過ぎ、飲み過ぎ、ストレス、ウィルスやピロリ菌感染、食中毒、アレルギーなど原因は様々ですが、炎症が起こり胃の機能が低下する事により膨満感、吐き気、下痢などを引き起こします。
胃下垂
自覚症状がなければ胃下垂は疾患ではありませんが、あまり胃が下がりすぎるとぜん動運動が正しく行われなくなる為、胃腸の働きが低下してお腹が張る原因になります。
大腸がん
初期の場合はほとんど自覚症状はありません。進行すると膨満感の他、血便、腹部にしこりが出来る、細い便が出る、頑固な便秘や下痢になるなどの症状が出ます。
卵巣がん
卵巣がんは40~50代前半がピークです。卵巣は「沈黙の臓器」と呼ばれており自覚症状の膨満感も「なんとなくお腹が張っている気がする」程度のものです。
仰向けで眠れないほど膨満感が悪化した場合はかなり進行している恐れがあります。また、腫瘍が膀胱を圧迫し頻尿になるという自覚症状が出る事もあります。
心と”お腹の張り”の関係
多量の空気を飲み込んでしまう事により便秘じゃないのにお腹が張る、おならやげっぷが頻繁に起こる、喉に違和感がある、胸の詰まりを感じるなど様々な症状が出る「呑気症(どんきしょう)」。日本では8人に1人がこの症状に悩んでいると言われています。
実はこの呑気症、「ストレス」が大きく関係しています。
例えば緊張したり不安になったとき、ゴクリと唾を飲み込む事がありますが、その時空気も一緒に飲み込んでいます。他にもストレスを感じて無意識に歯を噛みしめる事で空気嚥下が起こる場合もあります。
つまりストレスを感じる場面が多ければ多いほど空気を飲み込む機会が多くなるのです。
そして「呑気症」のこわい所はその症状自体がストレスになり「呑気症」を呼ぶ悪循環。
- げっぷが止まらなくて恥ずかしい思いをする
- お腹の音がおならだと思われてしまう
- 人前で症状が出たらどうしようと言う不安
- 空気を出す事を我慢するストレス
- 改善しない事へのイラ立ち
便秘じゃないのにお腹が張る不快感だけでなく、こんなストレスを日々抱えている方もいるのではないでしょうか。
どうすれば、この悪循環から抜け出せるのか。
次はこの呑気症を含めた「お腹の張り」の解消法を見ていきましょう。
お腹の張りを解消しよう
生活習慣の改善
日常生活のちょっとした癖の中に膨満感(お腹の張り)の原因は隠れています。
心当たりがあるという方は改善してみるとお腹の張りにも効果が出てくるかもしれません。今までの癖を常に意識して変える事は難しいかもしれませんが、少しずつ改善していきましょう。
★食事の摂り方のポイント
- 食べ過ぎ、飲み過ぎを控える
- 早食いをしない
- 口を閉じてよく噛んで食べる
- 食事中におしゃべりし過ぎない
★食事内容のポイント
以下の食品を食べ過ぎない(飲み過ぎない)
- 米、パン
- 芋類などでんぷん質の食品
- アクの強い野菜
- 消化が悪い繊維質の食品
- 炭酸飲料
呑気症を改善するには
前述した食事の摂り方を守る事はもちろんですが、大切なのは歯を噛みしめないこと。
普段、上下の奥歯は接触していない状態が理想です。俯きがちで奥歯が接触してしまっている人は姿勢に気を付けましょう。
緊張状態で歯を食いしばる癖がついているなと感じる方は、ストレスの元を解消出来るのが一番ですが、そうでなければ病院にかかるのもひとつの選択肢です。ただし、最初から心療内科にかかるのではなく、まず内科や消化器科へ行き胃や腸に異常がない事を確認しましょう。
漢方の力を借りる
今すぐ病院に行くほどでは…という場合は漢方薬を試してみるのも良いと思います。様々なものが出ていますので自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。(以下は一部の例です)
■消化器へアプローチするもの
- 六君子湯(りっくんしとう)…胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐に効果があります。
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大建中湯(だいけんちゅうとう)…お腹が冷えて胃腸が弱り膨満感がある人に有効です。血行を促進する事で消化機能を回復します。
■心にアプローチするもの
- 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)…胸やけ、げっぷ、胃炎、口内炎、胃下垂、下痢などの改善にも効果のある漢方です。腹部膨満感を和らげるとともに自律神経を整えてくれます。
- 酸棗仁湯(さんそうにんとう)…精神を落ち着け、寝つきを良くします。ただし、胃腸の弱い人や食欲不振・嘔吐がある人には向きません。症状を悪化させる恐れがあります。
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加味逍遙散(かみしょうようさん)…月経トラブルや更年期障害の改善に効果があり、どちらかと言えば女性向けです。ホルモンバランスを整える他、イライラ、不安感を取り除きます。生理痛や不眠にも効果があります。
ツボ押し
ツボ押しやストレッチで心と体をほぐしてあげるのも効果的です。
動画では、ストレスや緊張が緩和するツボである手のひら中央の労宮(ろうきゅう)と手首の内側中央から指3本分のところにある内関(ないかん)が紹介されています。
ストレスが溜まってきたなと思った時は足の裏の湧泉(ゆうせん)というツボも効果的です。場所は足の指をぎゅっと曲げたとき足の真ん中にできる中央の窪み部分になります。
呑気症によくあるお腹の張りや違和感、便通異常にも効くのは大巨(だいこ)というツボ。おヘソから指3本分外に移動して、そこからまた指3本分さがったところにあります。
他にもげっぷを出しやすくするツボなど、体には沢山のツボがあります。
是非、生活に取り入れてみて下さいね。
まとめ
便秘じゃないのにお腹が張るという同じ症状でも、空気の飲み込みによるもの、食べ過ぎや胃の消化機能低下によるもの、腸の機能低下によるガス溜まりによるもの、と原因は複数あります。自分がどのタイプなのか分析して、それに合った解決策を実践してみて下さい。
しかし、あまりにも症状が続くようであれば素人判断は危険です。そういった時は、うやむやにせず、きちんと内科や消化器内科を受診して下さいね。