慢性的な便秘症だと、便秘薬のお世話になることも多いですね。
でも、大腸が便秘薬の刺激でダメージを受けて、自然なぜん動が起こりにくくなったり、『大腸メラノーシス』の状態になったりすることが心配です。
”生薬の漢方なら体への負担が軽いから安心”なんて考えている人はアブナイですよ。
漢方薬でも選び方を間違えると、大腸にダメージを受ける事があるのです。
- 市販の漢方便秘薬の落とし穴
- 漢方便秘薬の選び方
- 腸にダメージを受けない上手な使い方
についてまとめていきましょう。
漢方便秘薬はけっこう刺激が強い
- 腸に刺激を与えてぜん動を起こさせる
- 水分の吸収をコントロールして便を軟らかくする
- 食物繊維を補給して便のかさを出す
こうした便秘薬の効果で、排便が進むのですが、漢方便秘薬が便秘を解消する有効成分は・・・”大黄やセンナ”
腸に刺激を与えて便を運ぶようにするので、コーラックなどに配合されているビサコジル、センノシドと同じ働きをします。
漢方便秘薬を選ぶ時にも、ほかの便秘市販薬を選ぶ時と同じように、刺激性の成分を利用するか、避けるかを見極める必要があります。
便秘薬のダメージで大腸メラノーシス
化学的な便秘薬でも、漢方・生薬由来の便秘薬でも、刺激性の便秘薬を使い続けると、腸内の色素が沈着して細胞が硬化します。
この状態が、大腸メラノーシスです。
大腸メラノーシスになると、神経が鈍くなって腸の働きが弱くなり、慢性的な便秘状態から抜け出せなくなります。
細胞の変質から、大腸がんのリスクが高まるとする説もあります。
便秘のタイプに合わせてダメージを避ける
”詰まった状態が続いて苦しいので、数時間内に結果が欲しい”という場合に限り、大黄や甘草、センナ、ビサコジル、センノサイドが配合された便秘薬を選び、それ以外は、水分のコントロール、自律神経の安定をサポートしてくれる漢方薬や、水溶性食物繊維を利用して、腸のダメージを避けていきたいですね。
漢方薬は体のバランス全体を整える
女性の場合は特に、ホルモンバランスの変化が便秘の原因になる事も多いですし、水分のコントロールや自律神経の安定が、便秘改善に役立ちます。
大黄や甘草、センナがメインになっていない漢方薬なら、、便秘体質を変えていくという使い方ができ、大腸への刺激性のダメージを受けずに済みますね。
漢方便秘薬の選び方・オススメ
便秘に効果のある漢方薬は、大黄配合率の高い刺激の強いものから、体のバランスを整えて胃腸を強くすることで便秘が治る体質改善タイプのものまで種類が豊富です。
女性にありがちな、生理の前後になんとなく体調が良くない症状は、刺激性の高い便秘薬よりも、ホルモンバランスの崩れや精神的なストレスで乱れがちな自律神経を整えて改善していくタイプがあう場合があります。
体の状態にあわせて漢方便秘薬を選ぶと、便秘以外の不調も改善されて、生理痛や、だるさや頭痛にも効果的な場合があるので、試して見てはどうでしょうか。
では、便秘に有効な漢方便秘薬の有名どころを紹介していきましょう。
タケダ漢方便秘薬
大黄甘草湯が、しっかり腸を刺激して排便をうながします。
寝る前の空腹時に飲んで翌朝お通じが来る処方になっています。
大黄などの下剤成分が入っていて、刺激が強いので、使い続けない工夫が必要です。
大黄は生薬ですが、腸への刺激が強く、続けて使う事で腸にダメージを与えることがあります。
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
出典:Amazon
便秘と下痢を繰り返す、腹痛やお腹のハリが出るという人に向いています。
気・血のバランスを整える働きがある漢方薬です。
体質が『寒タイプ』の人の体を温め、胃腸の動きをよくするので、便秘解消に役立ちます。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
出典:ツムラ公式サイト
ホルモンの働きをよくするので、更年期や肩こり、イライラ、不眠症に使われます。
精神的なストレスを受けやすい人が用いると、便秘に効果があります。
生理前後にあわせて起こる不調を軽く出来るので、女性にありがちななんとなく不調というケースにも効果が期待出来ます。
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
出典:ツムラ公式サイト
下剤成分が入っていないので、子どもや妊婦でも使うことが出来ます。
胃腸が弱く疲れやすい人に向いています。
大黄より腸へのダメージがなく、胃腸を強く丈夫にする事で腸の動きをよくします。
麻子仁丸(ましにんがん)
出典:Amazon
コロコロ便が多い人に向いていて、水分を保ってお腹のつかえをラクにしてくれる処方になっています。
大黄が含まれているので、腸への刺激がありますが、ほかの生薬の働きで調和させて、体力が衰えている人でも自然な便通に近い排便がしやすいのが特徴です。
まとめ
下剤としてだけでなく、体質改善に役立てて、腸へのダメージを防ぎましょう!
下剤効果でスッキリしたい場合には、タケダ漢方便秘薬が代表するように、大黄甘草湯の処方が効果的です。
ただ、常用すると腸へのダメージが蓄積されてしまうので、ホルモンや自律神経を整えたい人は、桂枝加芍薬湯など下剤成分の刺激が抑えられている、または、下剤成分が入っていない小建中湯を選ぶことで、体質改善ができ、刺激性の便薬の乱用を防げますね。