太田胃散は、昔から常備薬としておいているという人も多いお薬ですね。
ちょっとむかつきがある、食べ過ぎた時、『太田胃散を飲んでおきなさい。』なんて、親や、おじいちゃん、おばあちゃんに言われた覚えがある人もいるのではないでしょうか。
古くからある薬ですが、副作用や注意する事などないのでしょうか?
太田胃散の特徴や、副作用、注意したいことについてまとめていきましょう。
太田胃散はどんな薬?
含まれている生薬成分
ケイヒ
ケイの樹木の皮です。シナモンとは親戚関係にあります。
発汗、解熱のほかに、健胃作用があり、整腸・胃の不快感改善に効果があります。
ウイキョウ
西洋ハーブのフェンネルです。
胃の不快感、吐き気に効果的で、健胃作用があります。
ニクズク
スパイスのナツメグと同じニクズク科の種です。
消化を助けてくれるので、お腹のハリが気になる時、腹痛やおう吐に効果があります。
チョウジ
ハーブとしては、グローブとよばれているものと同じです。
健胃作用、吐き気を抑える、腹痛や下痢のときに用いられます。しゃっくりを止める作用もあります。
チンピ
ミカンの皮を乾燥させた漢方生薬です。
健胃作用、去痰作用、消化不良や食欲不振に効果があります。
ゲンチアナ
消化促進に効果的なので、胃もたれや食欲不振に用いられます。
強い苦味が、唾液や胃液の分泌を促進させてくれます。
ニガキ末
胃腸の運動を活発にして消化を促進するので、もたれを解消してくれます。
とても苦いです。
4種類の制酸剤
炭酸水素ナトリウム
胃酸を中和して、胃痛をやわらげるのに即効性があります。
胃酸の出過ぎで、胃が荒れている時に効く成分です。
沈降炭酸カルシウム
胃酸を中和してくれるので、胃酸が濃くなって胃が荒れている時に用いられます。
炭酸マグネシウム
胃酸を中和します。腸の運動を活発にする働きや、腸に水分を集める性質があるので、便秘解消に利用されることもあります。
合成ケイ酸アルミニウム
濃くなった胃酸を中和して、胃の粘膜を守ります。
ただ、長期にわたって使い続けるとアルミニウムの体への残存が心配です。
~その他の成分~
ビオチアスターゼ・・・・40mg
主にでんぷんとタンパク質の消化を助けます。食べ過ぎや膨満感といった症状の時に用いられます。
太田胃散の副作用
湿疹・発赤
添付文書には、『発疹・発赤・かゆみ』となっています。
生薬成分に制酸剤をあわせたお薬ということで、穏やかに聞く薬というイメージがありますが、アレルギー症状には注意が必要です。
透析している方には禁忌
使ってはいけない、医師・薬剤師に相談しなければいけない人として、透析している、甲状腺疾患がある、場合です。
安全性の高いお薬のイメージがありますが、こうした方は注意が必要です。
長期連用はダメ
添付文書には長期連用を避ける様にかかれています。
安全性が高いとはいっても、薬効のある第2類医薬品ですから、長期飲み続けた場合に影響が出るのかもしれません。
アルツハイマーとの関係は?
最近、アルミニウムの蓄積がアルツハイマーに影響を及ぼすことがわかってきました。
太田胃散には、制酸剤として合成ケイ酸アルミニウムが配合されています。
高齢者や腎臓の機能が低下していて、アルミニウムの排出が上手くいかない人が長期連用すると、アルミニウム中毒の症状が出る可能性があります。
アルミニウム脳症とは?
アルツハイマーの患者さんの脳には、アルミニウムの高濃度蓄積が認められます。
生活習慣で、アルミニウムを摂取する機会が多い場合のリスクを心配する声が高まっていますが、厚生省の見解では、健康な人であれば1日50㎎以下は許容範囲としています。
合成ケイ酸アルミニウムは、制酸剤として胃薬に良く使われていますが、長期連用では体の状態によっては100%安全と言い切れず、不安を感じるなら避けた方が良いということです。
胃痛のときの効果は?
制酸剤で胃酸を抑え、生薬で消化促進するというイメージの薬ですから、効き方はマイルドです。
ガスターや、タケプロンのように、胃酸そのものを分泌するしくみを抑えてしまうお薬ではないので、効果に個人差が出てきます。
太田胃散が体質に合っている、胃痛の原因解消に合っている場合には効果が感じられますが、潰瘍や痙攣を即効で押さえ込むには物足りないようです。
ちょっとした食べ過ぎやもたれ、むかつきには使いやすいお薬と言えそうですが、それだけに健胃薬のような感覚でしょっちゅう飲んでしまわないように注意しましょう。
普段から胃痛持ちで、完全生薬だけの安心な胃痛薬を探しているなら、『イツラック』のようなものを検討した方が良さそうです。
まとめ
太田胃散の長期連用には十分注意しましょう!
生薬メインの昔ながらのお薬なので、続けて飲んでしまいがちですが、長期連用は思わず影響を受けてしまう可能性があります。
第2類医薬品に位置づけられている”お薬”ですし、副作用の心配がゼロではないことを心に置いて用法用量に注意して使いましょう。