秋から冬にかけて流行するノロウイルス胃腸炎は有名ですね。ところで皆さんは、「ロタウイルス」をご存知でしょうか?
これもウイルス感染が引き起こす、感染性の胃腸炎です。ノロウイルスの発症がピークを過ぎた1月頃から流行し始め、4月頃にかけて続きます。
主に乳幼児が感染し、嘔吐・下痢・腹痛・発熱などの症状が出ます。そのため小さいお子さんには注意が必要ですが、時には大人でも感染するのです。
そこで今回は、大人のロタウイルスについてお話し致します
どんなとき大人が感染する?
ロタウイルスに感染・発症しやすいのは、生後6ヶ月から2歳頃の乳幼児です。そして5歳頃までには、100%に近いの小児が感染すると言われています。
ロタウイルスに一度かかると、免疫が作られ抗体が出来ます。
「それなら大人は安心」と思われますが、免疫のある大人でも感染・発症することがあるので気をつけましょう。
大人のロタウイルスは、その7割が子供からの二次感染です。
このウイルスは感染力が非常に強いので、家庭の中でロタウイルスにかかった子供がいれば、大人も感染することがあるのです。
感染した乳児のおむつ取替えの際、手などにウイルスが付着して、それが口に入り感染するケースなどが一般的です。カゼなどひいて免疫力が低下している時は、特に注意が必要です。
大人のロタウイルスの症状は?
乳幼児がロタウイルスに感染すると、約10%は重症化すると言われています。その多くは激しい下痢と、それによる脱水症状です。
しかし大人がこのウイルスに感染した場合は、免疫があるため症状が出ないことが考えられます。また、もし発症しても症状が軽い場合が多いです。
軽い倦怠感やむかつきがあるものの、やがてすぐに自然治癒します。但し大人も免疫力が低下していると、子供と同じような症状が出ることもあります。
その症状とは、以下のようなものです。
・米の研ぎ汁のような白い便の下痢
・発熱
・嘔吐
ロタウイルスに感染したとき仕事はどうする?
先ほどお話ししたように、ロタウイルスの症状の特徴の一つに、白っぽい便の下痢があります。
もしも下痢になったとき、それが白っぽい便の下痢であれば、ロタウイルスを疑い病院を受診しましょう。
ところで病院でロタウイルスと診断されたら、仕事はどうしたらよいでしょうか?最近はインフルエンザやノロウイルスに感染すると、完全出勤停止にする会社が増えています。
しかしロタウイルスの場合は、必ずしも会社を休まなければならないということではありません。従って自分の体調を判断したうえで、会社に出勤する人も多いです。
しかし何度も言うように、ロタウイルスはとても感染力が強いウイルスです。治らないまま職場に出勤してしまっては、そこでウイルスを広めかねません。
たとえ動ける状態の症状でも出来るだけ仕事を休んで療養し、回復してから会社に出勤することをおすすめします。
ロタウイルスの感染を予防するには?
ロタウイルスは二次感染によって家庭内で広がりやすいです。まずはそこから感染を防ぎましょう。
感染対策法をいくつかご紹介致します。
①手洗いをきちんと行う
感染者の嘔吐物・下痢を処理した後やトイレの後は、石鹸で手洗いを忘れずにしましょう。
感染者の便には、下痢の始まる2日ほど前から、症状が出て10日後くらいまで、便からロタウイルスが検出されます。
②汚れてしまった場所は消毒を
ロタウイルスは、アルコール消毒では効果がありません。感染者が汚した場所は必ずマスクとゴム手袋でガードをし、次亜塩素酸ナトリウム液で消毒します。
これは殆どの薬店に置いていますが、買いに行けない方はハイター等の塩素系漂白剤を200倍に薄めたもので代用できます。
③洗濯物は別にして
衣類に嘔吐物が付着したら、洗濯は通常の洗濯物とは別に洗いましょう。先ほどご紹介した消毒液に30分ほど浸けたうえで洗濯します。
但し脱色する場合もあるので、気になる方は85℃以上の熱湯に浸けても効果があります。
まとめ
病気や疲れなどで体の免疫が低下していると、大人でもロタウイルスに感染・発症しやすいことがわかりました。
特に二次感染によってかかりやすいので、お子さんがロタウイルスに感染した時は親も注意しましょう。
感染症は、治療・安静期間も大切ですが拡大感染を防ぐことが最も重要なのです。