ロタウイルスに注意
冬場に多く感染が見られる胃腸炎に、ロタウイルスによるものがあります。
あまり聞き慣れない病名かもしれませんが、是非、覚えておきたい病気です。特に、小さなお子さんのいる家庭では、十分、注意する必要があります。
ロタとは、ラテン語で「車輪」を意味する言葉です。電子顕微鏡で拡大してみると、車輪のような形をしています。
そのため、ロタウイルスという名前がつきました。
ロタウイルスは、意外に感染力が強いのが特徴です。またの名を、「お腹にくる風邪」とも呼ばれています。
実は、乳幼児の急な嘔吐下痢症の原因の多くが、ロタウイルスによるものです。特に、冬の時期には、気をつけたい感染症になります。
ロタウイルスの潜伏期間
ロタウイルスの潜伏期間は、およそ2日から4日の間です。感染から発症まで、わずかな時間しかありません。
その後、白っぽい水みたいな下痢や嘔吐に至るでしょう。ですから、白色便性下痢や白痢などと呼ばれることも、あります。
ロタウイルスの潜伏期間中は、他の人に感染させてしまう危険性があります。
周囲で、ロタウイルスの感染が流行している時は、症状が出てなくても注意することが大事です。
5歳までの子供のほとんどが、ロタウイルス感染を経験するとされています。中でも、初めて感染した場合、症状が強く出る傾向にあります。
ロタウイルスの症状
下痢や嘔吐はもちろん、発熱や腹痛などを伴う場合もあるでしょう。発熱などは、急に症状が現われますが、すぐに治まります。
やはり主な症状は下痢や嘔吐です。そのため、脱水症状を招くことも珍しくありません。
結果として、点滴や入院が必要になる場合もあるのです。
5歳までの急性胃腸炎で入院する患者の約半分が、ロタウイルスを原因とします。特徴としては、ノロウイルスと非常に似ていると言えるでしょう。
ノロウイルスも、冬場に多く見られる感染性の胃腸炎です。ロタウイルスとノロウイルスは、時期を前後して感染が流行することが多くあります。
ロタウイルスの対策
通常のアルコール消毒程度では、ロタウイルスやノロウイルスを防ぐことはできません。
塩素系の消毒薬などで、しっかり拭くことが必要です。わずかにでも油断をすれば、あっという間に感染が広がってしまいます。
残念ながら、感染してしまうと、ロタウイルスの効果的な治療法はありません。症状が出た場合、脱水症状に気をつけるために、水分の補給を行ないましょう。
一度に大量に補給するのではなく、何度かに分けてこまめに与えるのがポイントです。下痢や嘔吐による脱水症状は、予想以上に深刻な状態になります。
ロタウイルスに感染する恐れがあるのは、子供だけではありません。大人でも、ロタウイルスに感染する場合があるのです。
免疫力のある大人ならば子供より比較的、症状は軽いでしょう。しかし、潜伏期間であれば、知らない間に二次感染する場合があります。
子供から感染した大人から、さらに、再び、子供へと感染することもあるのです。ロタウイルスに子供が感染した場合、親も注意することが大事になります。
子供と同じ食器を使ったりすると、感染しやすくなるでしょう。
一度、ロタウイルスにかかってしまうと、手の施しようがないのが現実です。子供の場合、免疫が弱いので予防のためのワクチンを接種する必要があります。
世界的には、予防接種の推進がなされています。日本では未だ任意の接種となっていますが、積極的に接種を受けるようにしましょう。
まとめ
冬場の子供に多く感染が見られるのがロタウイルスです。大人が感染した場合、潜伏期間中に感染が広がる危険性があります。
感染を広げないように食器を分けて使うなど、十分、注意しましょう。
一度、感染してしまうと、有効なロタウイルスの治療法は、存在しません。感染の予防に効果的なワクチンを活用して、しっかり対処しましょう。