溶連菌感染症を知っていますか?
人間は、空気中の酸素を吸って二酸化炭素を吐き出すことで呼吸をしています。この空気には、いろいろな菌が浮遊しているのです。
その中には、「溶連菌」という喉の粘膜に付く菌があります。この菌が原因となって感染症を起こすものを、「溶連菌感染症」と言います。
基本的には、免疫力のあまり強くない小学校入学前の児童を中心に発症するのです。
何の前触れもなく、喉の痛みや体のだるさを訴えることで異常に気付く大人も多いでしょう。
いつもと違うと判断するためには
具体的には、以下のような症状に児童たちは見舞われるとされています。
・前触れのない高熱
・舌がいちごのつぶつぶのような突起のある腫れた状態
・リンパの腫れを伴う喉の焼けるような痛み
・肌にあらわれる多くの赤み
・体の力が入らない
・頭痛
・腹痛
・下痢
病原菌の潜伏期間を過ぎて、様々な症状が現れたら一刻も早く医療機関を受診しましょう。慌てずに、一つ一つの症状を問診票に細かく書くことから始まります。
いろいろな手続きを終えて、溶連菌感染症だと診断されるのです。
その後は、抗生物質と鎮痛剤で症状の緩和を待つことになります。症状が落ち着いてからも、処方された薬は飲み切らないと危険な合併症の心配があるのです。
大人にも感染のリスクあり
普段は驚くほど元気なのに、弱っている子供を見ると心配で付きっ切りになるはずです。一日でも早く元気を取り戻してもらうため看病は当然、大人の役目です。
とにかく子供の容態が気になって、看病が続けば自分の健康管理がおろそかになることもあります。
しかし、溶連菌感染症は子供だけが発病するわけではありません。当然のことながら、感染症なので大人にも移る可能性があるのです。
免疫力は子供よりも格段に強いので、症状が重くなることはありません。とはいえ、具体的な症状としてはあまり差はないのです。
仕事に支障がでないために
大人の場合は、しっかりとした免疫のおかげで重症化は免れることが多くなります。
そのため、仕事が忙しくて休暇をとれない人は無理をして出勤しようと考えるかもしれません。
しかし、焦る気持ちを抑えて、一つ深呼吸をして考えてみてください。現在の症状がどうであれ、感染症になっていることは間違いないのです。
ということは、出勤すると仕事の関係者への感染のリスクをアップさせることになります。
これでは、結果的には社員の多くが感染することもあり、仕事に支障が出てしまうのです。
自然治癒ではなくしっかり治療しよう
結果的に社会に様々な迷惑をかけてしまうことを考えると、しっかり休養することが大切です。
家族が原因で感染したかもしれないことも、忘れずに主治医に伝えましょう。
症状が子供と変わらないので、治療法についても共通しています。抗生物質の作用で感染源が死滅したのを、最終検査で確認してから出勤する必要があるのです。
大人であっても、処方された薬はすべて飲み切らないと副作用のため、深刻な合併症に襲われます。
しかも、免疫力が強いために合併症で動き回る菌も子供よりも強力です。最悪の場合には、重症になることも考えられます。
高齢者は油断大敵
大人は免疫力が強いと言っても、高齢者で抵抗力が低下している人はこの限りではありません。
感染源が付着しないように、予防策をとらなくてはいけないのは子供と同じなのです。溶連菌感染症の場合には、現在のところ有効なワクチンは開発されていません。
そのため、風邪やインフルエンザと同じように、うがいと手洗いで菌を持ち込まない努力が必要です。
まとめ
溶連菌感染症は、おもに免疫力が低下している子供に患者が多いとされています。
しかし、感染症に苦しんでいる家族がいる家庭では大人も感染のリスクがアップするのです。子供よりは症状が重くないからと様子を見ようとすると、周囲の人に感染する可能性があります。
時間を見つけて、医療機関で治療を受けるようにしましょう。