溶連菌を感染・発症する最も多い対象者は、一般的には5~15歳の子供と言われています。
しかし、免疫力が弱くなっている大人、特に妊婦の方の感染には要注意です。では、妊婦さんに感染してしまうと、胎児への影響などは一体どのようなものがあるのでしょうか?
今回は、溶連菌が妊婦に与える影響について詳しく解説して行きたいと思います。
溶連菌とは?
普段、溶連菌感染症に感染・発症する殆どはA群の溶連菌であり、小・中学生が良く感染します。この感染症は、A群連鎖球菌が咽頭の粘膜に付着し、発症するのです。
しかし、妊婦さんに感染する溶連菌はこのA群ではなく、B群溶連菌になります。この細菌は特殊で、感染してもすぐに症状が出ることもなく、膣の中で常在菌の一種となるのです。
通常は悪さをする訳でもなく、膣内でジッと生息しています。この細菌は、特別なことで感染する訳ではありません。
知らないうちにソッと入り込んで来て、ひっそりと下半身の粘膜付近に生息しているのです。
溶連菌が生息する場所
・膣内
・膣の入り口付近
・肛門付近
B群溶連菌とは?
膣内に、ごくありふれて存在するこの菌は、妊婦さんの5~10人に1人は持っています。
また、この菌を持っている母体から生まれた赤ちゃんの、50%は菌が発見されているのです。溶連菌が発見されたからと言って、全てが危ないということはありません。
ただ、そのうちの1/100の割合で、赤ちゃんに重度な感染症が発見されます。この病気のことを「新生児B群溶連菌感染症」と言います。
発症時期によって2つのタイプに分けられるのです。
早発型
赤ちゃんが生まれてから、7日以内に発症します。
特に、生まれてすぐの24時間以内が最も危険です。
遅発型
生まれて7日以降に発症するのですが、早発型よりは危険度がありません。
病院を退院した後で発症するので、お母さんや周りの家族が充分に気を付けてあげることが大切です。
発症した時に気を付けたい症状
・いつのもように元気がない
・ミルクの飲み方に勢いがなく量が少ない
・呼吸に安定感がない
胎児とB群連鎖球菌との関係
赤ちゃんがお腹の中にいる時
胎児は、お腹の中では羊水に守られています。ですから、羊膜に感染した場合、切迫早産や前期破水の恐れがあるのです。
これは、連溶菌に限らず膣内に雑菌がいると、子宮口が柔らかくなりやすくなり、破水の原因になります。
出産の時
赤ちゃんへは、産道を通る時に感染します。新生児への感染は、肺炎や髄膜炎を発症する危険性があるのです。
臨月に入る頃、おりものの中に溶連菌がいないか検査し、感染が認められた場合は出産までに治療をするかを決めます。
対策として
分娩前に、溶連菌検査で陽性反応が出た場合、分娩時に抗生物質を点滴します。この点滴で、65%以上の感染を防ぐことが出来るのです。
妊娠中期の検査で陽性反応が出た場合、抗生物質の飲み薬の投与が行なわれます。更に、妊娠末期の再検査で陽性反応が出た時には、抗生物質の点滴投与が行われるのです。
妊娠中の抗生物質の投与は大丈夫か?
溶連菌の治療方法として、抗生物質の投与が一般的に行われています。それは妊婦さんも例外ではなく、抗生物質を処方されるのです。
勿論、妊婦さんに使われる抗生物質は、胎児に悪影響を及ぼさないものが処方されます。
ですが、心配する必要はありません。例え副作用が出たとしても、膣内や外陰部がかぶれて痒みが出る程度です。膣内が感染している場合は、お産の際の抗生物質の点滴の予防で、赤ちゃんへの感染の心配もありません。
まとめ
妊婦さんは、B群溶連菌感染症に充分に配慮する必要があります。
この菌は、出産時に赤ちゃんに感染してしまうことがありますが、分娩時に抗生物質を投与することで感染を防ぐことが出来るのです。
妊婦検査の項目に「GBS=B群溶連菌」の箇所の「陰・陽」を良く確認してみて下さいね。