最近増加傾向の感染症である溶連菌をご存じでしょうか?
溶連菌は風邪の症状に似ています。しかし、風邪ではなく細菌感染の全く違う疾患です。
正確な診断の後、抗生物質で治療する必要があります。
ところで、溶連菌には特徴的な症状があります。
その症状は“発疹”です。ここでは、溶連菌について、そして特徴的な症状の発疹について詳しくご説明します。
溶連菌について
まず初めに、溶連菌についてご説明します。溶連菌の正式名称は、A群β-溶血性連鎖球菌です。
溶連菌は、通年発生する感染症ですが、特に冬の季節は流行します。感染ルートは、咳やくしゃみなどの飛沫感染が殆どです。
よって、溶連菌が流行っている時期には感染しないように、うがいや手洗いで予防することが大事です。
そして、家族内での感染も防止しなくてはなりません。
溶連菌は症状に特徴がある
溶連菌は風邪に似ていますが、風邪とは違う特徴的な症状があります。
溶連菌の症状
・発熱
・喉の痛み
・体に発疹
・舌に発疹
風邪の症状と比べると、咳や鼻水が出現しないことも多いです。
特徴的症状の“発疹”について
溶連菌の特徴的症状と言えるのが発疹です。
首から胸に広がる発疹
顔、首から胸に広がるように赤い発疹が出現します。この発疹は、痒みを伴う場合もあります。
そして回復期には、皮が剥けて元に戻っていきます。
舌に発疹
最初は、舌に白い苔のようなものが出現します。そして、次第に赤いブツブツした発疹へと変化します。
この症状は、イチゴに似ていることからイチゴ舌と呼ばれています。
溶連菌の治療は抗生物質
ウイルス感染の風邪には抗生物質が効きません。
一方、溶連菌は細菌の感染症です。細菌には抗生物質が大変効果的だと言われています。よって、溶連菌はきちんと抗生物質を服用することで根治出来ます。
尚、医療機関で溶連菌の疑いと診断されると、検査キットで迅速に確定検査が可能です。
検査はその日のうちに結果が出ます。
抗生物質は10~14日程度内服
溶連菌の症状は、抗生物質の服用開始から1~2日で激減します。しかし、症状が軽快しても溶連菌は体の中に潜んでいます。
医師の指示に従って完治するまで、抗生物質は服用を続ける必要があります。
発疹は痒みをともなうことがある
溶連菌の特徴症状である発疹は、目に見えるものですから気になる症状です。また、痒みが伴うこともあります。その為、子どもや大人でも無意識に掻いてしまう可能性があります。
よって、家庭での療養には、次のような工夫を心がけましょう。
発疹に痒みがあるときの工夫
入浴について
痒みが酷いときは、入浴を避けてシャワーのみにしましょう。
痒みは体温が上昇すると増すことがあります。
衣類
肌に刺激の少ない綿100%の下着を使用するようにしましょう。
痒みに対して刺激が緩和されます。
衛生
痒みのある発疹を掻いてしまうことで、皮膚が傷つきます。
“とびひ”になる可能性も出てきます。
とびひとは、伝染性膿痂疹という皮膚病です。溶連菌が皮膚に感染すると発症することがあります。
発疹がとびひにならないように、爪は短く切って衛生面を整えることが大切です。
まとめ
溶連菌には、抗生物質が大変効果を発揮します。
その為、以前ほど怖い病ではなくなりました。しかし、きちんと最後まで服用して根治させることが大切です。
自己判断で服用をやめてしまうと、急性糸球体腎炎やリウマチ熱など、深刻な疾患の原因にもなると言われているからです。
また、早期の受診も必要です。
発疹や喉の痛みなど、特徴を見逃さないようにしましょう。早期発見、早期治療、そして根治です。
溶連菌の特徴的な発疹が出たら、自己判断ではなく早急に医療機関を受診するようにしましょう。